[ なりたいキャラになれ。 ]
ぼくは中学校1年生の時に、東京に引っ越してきたわけですが、正直、そこから先は「先生」という人達に対して、あまり良い印象を持てませんでした。
元々は横浜に住んでいて、(横浜といっても田舎な方だけど)横浜の先生達は非常に熱心に、僕たちのことを見てくれていたという印象があったのですが。
東京に来て以来、中学、高校といろんな先生を見てきたけれども、なんだか「結局、この人達は、自分を守ることで精一杯なんだな」なんてことが見え見えで。。。
学校外の付き合いが始まってね、例えば自分たちの学校にはこんな先生がいるだとか、将来は学校の先生になりたいなんて言う人に会うと、すごく羨ましいなあなんて思った記憶があります。
子供ってのは非常に敏感で、大人が何を考えているかだとか、何を一番優先的に考えているかっていうのは、分かるもんで。
最近は、子供と接する機会も多いので、この辺りはちゃんと自分も良い大人にならなきゃなあなんて思ったりもします。
さてさて。
大人に対して(特に先生に対して)あまり良い印象を持ったことはない僕ですが、たった一人だけすごく印象的な先生がいらっしゃいました。
高校の時の数学の先生です。
その先生は、ちょっとハチャメチャで、言い方は悪いんですが職員室内の評判は悪かったと思います^^;
ただ生徒たちからの人気はすごく良くて、「この人は親身になって僕たちに向き合ってくれている」っていう安心感が常にありました。
勘違いしてほしくないのは、この先生は、ただ優しくするだけとかではないということ。
怒る時にはめちゃくちゃ怒るし、当時はまだガラケーでしたから、授業中に携帯が鳴るなり、生徒からそれを取り上げて、バチコーン!と逆パカパカにしたこともありました(笑)
それでも、それが自分勝手なことではなく、生徒の為を思ってるって言うことが伝わってくるので、非常に人気があった先生で、僕自身も例外的に彼のことは好きでした。
そんな彼が最後の授業でしてくれて話。それを僕は今でも、よく覚えています。
当時はよくわからなかったけれども、大人になった今では、すごく彼の言いたかったことが分かる気がするんです。
彼は最後の授業の時に、こんな話をしてくれました
「これから大人の一因になる君たちに対して、こんなことを言うのは夢を砕くようにな気持ちもするけれど、大切なことだから言っとくよ」
「正直言って、世の中は理不尽なことがたくさんある。そして、君たちは今夢に向かって、自分のなりたい職業に向かって、大学受験に立ち向かおうとしている」
「でもね。はっきり言っておくけれど、なりたい職業になれるなんて思わない方がいい。むしろ自分がなりたい職業になれるというのはレアケースで、ほとんどの夢は叶わないんだよ」
「なりたい職業にはなれない。たとえ東大をでても、早稲田を出ても。社会に絶対的なものなんて、なにひとつないんだよ。」
「ただ、君たちにもできることはある。なりたい職業になれるとは限らない。だからこそ、なりたいキャラになってくれ」
なりたいキャラになってくれ。。。
この言葉は、高校三年生の僕には、正直飲み込めませんでしたが、今となってはすごく大切な言葉になっています。
なりたい職業になる。もちろんそれが叶えば素敵だけれども、ほとんどの職業においてそれは誰かの許可を必要とするものです。
会社側がOKを出してくれないと入社できないわけですから。試験に合格しないと、望む資格はもらえないわけですから。
言い方を変えると、「なりたい職業につく」というのは、自分自身に決定権がないのです。
しかし、なりたいキャラになるというのはどうでしょう?
キャラを作るというのは自分自身で出来ることですよね。自分自身でコントロールがきく領域なのです。
おそらく彼が言いたかったことは、そういうことじゃないかなと思うのです。言い方を変えると、人生の主導権は自分で握るという、まだ未熟な学生に対しての熱いメッセージだったと思うのです。
この歳になるまで、僕自身も、何度も壁にぶつかり、時には諦めという選択をしなければならなかったけれども。
彼のこの言葉があったからこそ、なんとか持ちこたえることができたように思うのです。
そしてこの言葉は、僕の座右の銘の一つとして、おそらく一生付き合っていくであろう、大切な言葉なんです。
なりたいキャラになってくれ。。。
これなら、自分の力で叶えることができるはずです。